心理
荒川洋治『心理』(みすず書房、2005)が、丸山眞男の三島庶民大学に触発されて書いた「詩」であることを、拙ブログ、「2005-07-04 自由について」において引用紹介した。
その引用部分に続くことば。
初回「明治の精神」(この日 子犬が集まる)
翌年二月から四月は「近代欧州社会思想史」(八回)
十二月は「現代社会意識の分析」(二回)さなかに彼は
雑誌「世界」に「超国家主義の論理と
心理」を発表、
漱石の小説「それから」のせりふと
戦争中の作戦要務令をとりあわせるなど
の斬新な手法と論理で 戦争に至る
日本の精神史を描き出す
・・・(中略)・・・
丸山の生活は庶民と同じで衣食住はままならず貧窮の底を這った
普段着は軍/服と軍靴 あいまをみて郷里「信州」や常磐線沿線まで買出しにでかけた
軽い荷物と思い荷物が駅を通過する とても静かな駅を
・・・(中略)・・・
「丸山さーん」
なんだね
「駅はそっちです」
ああそうだ
「ただ、ひとつ心配なことがあって」
なにが?
「未熟の時代の未達成の作家って、心配で」(p.33−36『心理』)
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存在しない「丸山政治学」や「丸山眞男問題」を批判するより、必要なのは「21世紀の政治学」が提起されることだ。ただし、「丸山思想史学」は存在する。
東大出版から『丸山眞男講義録』として復元された全7冊の内の6冊。
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とりわけ、1964年から1967年の講義の前提として示された日本の思想的伝統の原型=「古層」問題への批判・言及こそ丸山眞男が望むところではないのか。「古層」問題こそ、日本思想史へのラディカルな切り口であったはずだ。