モンドヴィーノ
ワインについてのドキュメンタリー映画。監督はジョナサン・ノシター。よほどのワイン通でなければ面白くないだろうと観る前に想像するかも知れないが、インタビュー形式で進捗する現在の世界のワインをめぐる状況はきわめてスリリングな展開を見せてくれる。一言にしていえば、ワインのグローバリゼーションとローカルに固執したワイン作りの対抗を描いたフィルムとなろう。ワイン・コンサルタントのミッシェル・ロラン氏を中心に、「ワイン」とはどうあるべきか、また、ブランドとしての「ワイン」の行方など、この映画一本でワイン地図ができてしまう。
- 出版社/メーカー: 東北新社
- 発売日: 2006/04/21
- メディア: DVD
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ミッシェル・ロランと、ワイン評論家のロバート・パーカーが、本編の主人公になっている。ワインの産地として著名なボルドー、ブルゴーニュー、ナバ、トスカーナー、アルゼンチン、カリフォルニアなどのワイナリーへのインタビューから、ワインが今どのように生産され、消費されているかを見せてくれる。愛飲家たちの舌は、ブランド名や、ワインの評価や価格に惑わされていないか。実際私もワインを飲むけれど、ブランド名などまったく気にしていなし、美味しく飲むことができればそれで良いと単純に思っていた。しかし、この映画を観るとワインを飲むとき、生産地やワインを製造している人々の思いを想起させることになる。
ワイン通を吹き飛ばす迫力でインタビューするノシターの行動が、世界中のワイナリーをカットバックさせながら、市場原理で動くワインへの見方に必ずしも批判的にならず、一方では、地道に生産地固有のワインを作りつづける人々を対極におき、さあ、あなたならどのワインを選びますかと質問を投げかけられているように作られている。ことばの正しい意味で、美味しい映画だ。
■参考