バタイユ 魅惑する思想


さて、バタイユである。酒井健バタイユ 魅惑する思想』が1月に出た。


バタイユ―魅惑する思想 (哲学の現代を読む 1)

バタイユ―魅惑する思想 (哲学の現代を読む 1)


バタイユの著作12冊についての著者による「読み」の試みであり、代表作『文学と悪』、『内的体験』、『エロティシズム』、『呪われた部分』、『エロスの涙』などの、解読めいた内容となっている。バタイユに直接接触した岡本太郎や、影響を受けた三島由紀夫にも頁がさかれている。


内的体験 (平凡社ライブラリー)

内的体験 (平凡社ライブラリー)

エロティシズム (ちくま学芸文庫)

エロティシズム (ちくま学芸文庫)

呪われた部分 有用性の限界 (ちくま学芸文庫)

呪われた部分 有用性の限界 (ちくま学芸文庫)


バタイユを思想家と記述したが、文学、芸術、宗教、政治、経済、社会、人類学、エロティシズム、そして、もちろん哲学など、広範なジャンルに亘る著書を残している、生の肯定者である。それは静謐な・傍観者的な生ではなく、死に向かうきわめて過激な生の肯定者なのだ。


なぜ、ラカンバタイユに21世紀の思想家を見るのか、西欧近代を相対化した位相から生(性)と愛(友愛)について激しく語っているからである。この二人の因縁は、ジャン・ルノワールの傑作『ピクニック』(1936)に出演した女優シルヴィア・バタイユ(シルヴィア・マクレス)が、最初の結婚相手ジョルジュ・バタイユと離婚し、ジャック・ラカンと再婚しているところにある。不思議な縁というべきだろう。


ピクニック [DVD]

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バタイユラカンも、今、解読の緒についたばかりであり、当分は二人の著書を読むことになりそうだ。二人とも、近代的な自我=主体を否定した。「私は・・・私である」とはいえない。他者、自同律の不快。ここで埴谷雄高に繋がる。ぷふぃ。気分が高揚し、わくわくする状態にある。「ラカン萌え」「バイタユ萌え」かな。