スウィングガールズ

スウィングガールズ スタンダード・エディション [DVD]

スウィングガールズ スタンダード・エディション [DVD]


矢口史靖の『スウィングガールズ』(2004)を観てきた。大ヒット『ウォーターボーイズ』(2001)の二番煎じ、いや、女子高生とビッグバンドと東北弁の組み合わせに、期待の方が大きかった。矢口監督の目の付け所が、良い。何よりも、田舎の女子高校生たちを、等身大で演じている、上野樹里(『チルソクの夏』)、貫地谷しほり本仮屋ユイカ豊島由佳梨たちが、いきいきと輝いており、素晴らしく観て十分楽しむことができた。



女子バンドにただ一人の男子、平岡祐太君は、ブラスバンド部ではお荷物だったのが、ジャズバンドの実質リーダー役としてまた、この種の映画に欠かせない竹中直人がジャズ好きな先生になり、側面から彼女たちを包むような構成が、この作品を見ごたえある娯楽作品にしている。


ラストのコンサート会場への流れは、かつてのプログラムピクチャーが持っていた、ご都合主義を見事に取り込み、しかも、映画の細部が丁寧に撮られているのには、感動をすら覚えてしまった。映画は、こうでなくっちゃ。


この映画では、恋愛とか純愛などは一切描かれないのも潔い。代わりに、女子高校生たちが、ジャズに向かってゆく過程のエピソードの積み重ねの一つひとつが、味わい深くひねりがあり面白い。


楽器を買うためのスーパーでのアルバイト。まつたけ掘りが一転して、猪に追われる顛末。一旦あきらめたビッグバンドの魅力に抗し難い上野樹里が、中古のテナーサックスを持って、河原へ行くと、対岸にはビアノを弾く平岡祐太がいる。このシーンから、彼らはビッグバンドとしての意思を固める。


A列車で行こう」「イン・ザ・ムード」「シング・シング・シング」「ムーンライトセレナーデ」など、ジャズのスタンダードナンバーが、女子高生たちによって演奏されると、音楽の愉しさが増幅される。


エンディングロールは、「L-O-V-E」が背後に流れるなかで、映画のワンシーンや、その後を見せたりと、最後まで楽しませて貰った。『スウィングガールズ』は、まぎれもなくミュージカル映画の傑作となっていると、大声で宣伝したいくらいだ。


スウィングガールズ』の公式サイト
http://www.swinggirls.jp/index.html