須賀敦子
ミラノ霧の風景―須賀敦子コレクション (白水Uブックス―エッセイの小径)
- 作者: 須賀敦子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2001/11/01
- メディア: 新書
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須賀敦子(1929〜1998)の文章は美しい。
1990年に『ミラノ霧の風景』(白水社)が出版され、端正な日本語の美しい文体で、イタリア時代の交友について語るエッセイは、あたかも小説を読む感覚を味わうことになった。講談社エッセイ賞と女流文学賞を受賞したとき、作者は60歳を過ぎていた。遅い出発であった。
その後、
『コルシア書店の仲間たち』(白水社)
『ヴェネツィアの宿』(白水社)
『トリエステの坂道』(白水社)
『ユルスナールの靴』(白水社)
など、イタリア時代の記憶を紡ぎだすように、次々と珠玉のエッセイ集を、刊行していった。5冊の著書を出版したところで、1998年、突然の他界。
10年未満の間、須賀敦子さんは疾走しつづけた。
私が須賀敦子さんを発見したのは、1998年の著者の死後であった。上記5冊を、98年9月から10月にかけて集中的に読むことになった。とくに、『コルシア書店の仲間たち』と『ヴェネツィアの宿』は、きわめて印象深かった。