ブラックブック


ハリッドで活躍しているオランダ出身のポール・バーホーベンが、故郷オランダを舞台に撮った『ブラックブック』(2006)を観る。時代設定は、ナチス制圧下でユダヤ人迫害問題と、オランダ人のレジスタンスとの接点や、ナチス将校に接近するユダヤ人女性ラヘル(カリス・ファン・ハウテン)を中心に展開していく。


Black Book

Black Book


冒頭は、1956年10月のイスラエルキブツ。観光旅行で訪れた女性が、キブツにラヘルを発見する。二人はかつての知り合いらしい。ラヘルが、海を見つめるシーンから1944年のオランダに変わる。ナチス制圧下のオランダではユダヤ人迫害が始まっていた。


ナチスのために家族を殺害されたラヘルは、髪を染めスパイとしてナチスの親衛隊に進入する。そこで、ムンツェ大尉(セバスティアン・コッホ)と出会う。敵ー味方と対立する関係にありながら、二人の心は惹かれて行く。オランダおけるユダヤ人問題。やはり、構造の中で見えない世界にいることからくる不幸と、戦後処理でのナチ将校の扱い。やはり重い主題だ。


ラストシーンは、再び1956年10月のイスラエルキブツに戻る。そこには、子どもと手をつないでいるラヘルの姿があった。過ぎた歴史の重さを感じさせるシーンである。


二本に出演しているドイツ人俳優セバステャン・コッホの存在感は大きい。一方ではナチスの将校、他方では、体制に反逆する演劇家。相反する役を演じながらも、感情移入をさせてしまう俳優。優れた資質を持つセバステャン・コッホから眼が離せない。


氷の微笑 [DVD]

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