リンダリンダリンダ


高校の文化祭前日から最終日、女子高生たちのロックバンドが、ブルーハーツの曲を体育館で演奏するまでのお話。高校生の日常が、きわめて自然に、いかにものリアルさで撮られている。文化祭前日に、前田亜季が廊下を移動しながら、各教室を回るシークエンスが横移動でキャメラが捉え、そこには、あたかも、キャメラが回っていないかのような自然さが溢れていて一気に作品の中に入り込むことができる。ミニスカートをはき、紺のソックスの制服がいい。


キャメラは、原則として固定か横移動に限定されている。カットを重ねるのではなく、長回しによることで、少女たちの日常が生々しく捉えられている。香椎由宇のけだるい感覚は、いかにもの、「らしさ」を引き出ている。


ボーカルを、韓国からの留学生ペ・ドゥナが演じているのが、新鮮だ。文化祭のクライマックス。バンドが、ブルーハーツの曲『リンダリンダ』『終わらない歌』を演奏する。とりたててて、どこがどうということもないけれど、女子高生の日常と非日常を、鮮やかに切り取っている。


山下敦弘、『リアリズムの宿』を経て、快作を撮った。



『リンダリンダリンダ』公式サイト


リンダリンダリンダ (竹書房文庫)

リンダリンダリンダ (竹書房文庫)