寝ながら学べる構造主義


寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))


今回、『寝ながら学べる構造主義』(文春新書)を読み、内田氏の思考の根底が理解できたように思う。構造主義の前史として、マルクスフロイトソシュールがいて、そして本書は、構造主義の「四銃士」とは、フーコー、バルト、レヴィ=ストロースラカンであり、この四人についての内田的解説になっている。帯のコピー「な〜んだ、そんなことだったのか」というほどには、やさしい読み物ではないが、明快な解説なので「構造主義」について、解ったような気分にさせてくれる。

私たちがごく自然に、ほとんど自動的に行っている善悪の見きわめや美醜の判断は、それほど普遍性をもつものではないかも知れない。
私たちにとって「ナチュラル」に映るのは、とりあえず私たちの時代、私たちの棲む地域、私たちの属する社会集団に固有の「民族誌的偏見」にすぎないのです。(p18)


それは、

「私たちはつねにあるイデオロギーが『常識』として支配している、『偏見の時代』を生きている」という発想法そのものが、構造主義がもたらした、もっとも重要な「切り口」だからなのです。(p19)


つまり、ニュートラルな言説などない、ということです。