奥野信太郎
- 作者: 奥野信太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/12
- メディア: 文庫
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奥野信太郎『女妖啼笑 はるかな女たち』(講談社文芸文庫)。中国文学者・奥野信太郎氏の自伝です。自伝とはいっても、著者がいう「愛婉癖」に従って、女性遍歴を赤裸々に、とはいっても、文章の味わいは粋なところがあり、羨ましい記述になっているのです。
明治・大正・昭和の女性たちを知るためにも、この本の価値は十分あります。荷風の『珊瑚集』を中国語に翻訳したこともあり、荷風的生き方と、幾分通ずるところもあるのです。本当に「もてる男」とは、奥野信太郎氏のような人を指すのでしょう。
知識人が女性にもてた時代。もはや過去となってしまったけれど、そんな時代があったのです。
講談社文庫は、文庫本としてみれば割高な本が多いのですが、内容を換算すれば、決して高くはない、良質の文庫なのです。*1。講談社文庫のラインアップが、他社の文庫にはない良さがあります。流行を追わない、文学のスタンダードが揃っているのです。少しづづ触れてゆきたいと思っています。