2007年映画ベストテン
今年も映画ベストテンを選出したい。スクリーンで観たは映画103本であり、なおかつ、『キネマ旬報』の2007年度「読者選出ベストテン作品リスト」から選出した。
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2.「それでもボクはやってない」(周防正行)
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4.「パッチギ、love&peace」(井筒和幸)
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5.「しゃべれどもしゃべれども」(平山秀幸)
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7.「図鑑に載っていない虫」(三木聡)
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8.「垂乳女」(河瀬直美)
9.「舞妓Haaaan!!!」(水田伸生)
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10.「サッドヴァケイション」(青山真治)
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・そのほかの候補作(順不同)
「夕凪の街、桜の国」(佐々部清)
「東京タワー」(松岡錠司)
「椿三十郎」(森田芳光)
「殯の森」(河瀬直美)
「めがね」(荻上直子)
山下敦弘の作品が二本入った。『天然コケッコー』は拙ブログでも触れたが、文句なしダントツのベストワンだろう。『松ヶ根乱射事件』は、田舎町におきる不思議な事件を『天然コケッコー』と同様に説明を排除している。これが映画的リズムというもの。そういえば『リンダリンダリンダ』もそうだったことに思い至る。
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周防正行は、10年振りの新作『それでもボクはやってない』が「痴漢冤罪もの」という微妙な題材をしっかりと描き上げたことは、十分評価されていい。
河瀬直美は、カンヌで受賞した『殯の森』より『垂乳女』を入れた。河瀬直美の素の部分が非常によくあらわれている。演出された虚構よりも、自分に関するドキュメンタリー映画がはるかに迫力があるのは皮肉な現象といわざるを得ない。しかしながら、この人の執念には脱帽する。
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選外となったが、森田芳光は『サウスバウンド』と『椿三十郎』の2本を製作している。黒澤明の名作に挑戦し、いまの「椿三十郎」としては良くできている。どうしても大名作と比較される分、マイナス評価になりがちだが、この人の映画的センスは買っている。
【外国映画】
1.「フランドル」(ブリュノ・デュモン)
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2.「街のあかり」(アキ・カウリスマキ)
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3.「長江哀歌」(ジャ・ジャンクー)
4.「絶対の愛」(キム・ギドク)
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5.「善き人のためのソナタ」(フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)
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6.「シッコ」(マイケル・ムーア)
7.「デス・プルーフ・in・グラインドハウス」(クエンティン・タランティーノ)
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ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
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9.「題名のない子守唄」(ジュゼッペ・トルナトーレ)
10.「魔笛」(ケネス・ブラナー)
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次点「今宵、フィッツジェラルド劇場で」(ロバート・アルトマン)
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・そのほかの候補作(順不同)
「タロットカード殺人事件」(ウディ・アレン)
「ブラック・ブック」(ポール・バーホーヴェン)
「13/ザメッティ」(ゲラ・バブルアニ)
「ヘア・スプレ−」(アダム・ジャンクマン)
「バベル」(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ)
「ゾディアック」(デヴィッド・フィンチャー)
「ボルベール」(ペドロ・アルモドバル)
「楽日」(ツァイ・ミンリャン)
「映画館の恋」(ホン・サンス)
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ジャ・ジャンクー『長江哀歌』が、各種ベストテンのトップに選出される予感がする。三峡ダム建設によって沈み行く街の人々の日常を、自然の美しさのなかに描きあげた『長江哀歌』は、説明を排除し、淡々と、しかし悲惨であるがたくましくもある農民たちの生き方が映像に刻印されている。
拙ブログで予告していたように、ベストワンはフランス映画、ブリュノ・デュモン監督の『フランドル』で、この人も映画を説明するのではなく、映像としてみせる力量を持っている。
2006年度のベストはクリント・イーストウッドの戦争映画だった。同じ戦争を描いても対照的な作品であり、いずれをも支持するが、どちらかといえばブリュノ・デュモン的作品をより高く評価したい。
今年のベストテンのうちアメリカ映画は3本、いわゆるハリウッド映画は2本であった。いかにハリウッド映画界がリメイクに奔走し、オリジナリティを失いつつあるかが証明された一年でもあった。
ウディ・アレンは一年一作のペースを保ちつつ、質の高さをコメディ風に昇華させているし、ジュゼッペ・トルナトーレはこれまでの路線と180度異なるサスペンス的人間ドラマをヒッチコックのように見せている。アルモドバルは、ジェニファー・ロペスを主演に迎え、女性賛歌の『ボルベール』を撮った。
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ミュージカル映画に良い作品が多いのも今年の特徴。『ドリームガールズ』の力強さ、『魔笛』はオペラだが、流麗なキャメラワークとモーツァルト音楽のマッチングが見事だった。アルトマンの遺作『今宵、フィッツジェラルド劇場で』の絶妙な味わい、歌って踊ることの楽しさを『ヘア・スプレ−』がみせてくれた等々。
以上はあくまで個人的な「ベストテン」であることは申すまでもない。
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■追記(2007年12月29日)
特別作品『ヒロシマナガサキ』
スティーヴン・オカザキ『ヒロシマナガサキ』を日本映画とみていたが、「キネマ旬報」では外国映画に分類されている。『ヒロシマナガサキ』を外国映画とするには違和感があり、特別枠としたい。この映画は、ベストテンからはずせない。
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