坂口安吾論
柄谷行人が、『坂口安吾全集』(筑摩書房,1998−2012)の「月報」に「坂口安吾について」を連載していた。月報連載分を第一章として、個別論文を第二章、第三章が全集関連ものを収録したのが、『坂口安吾論』(インスクリプト,2017)である。
- 作者: 柄谷行人
- 出版社/メーカー: インスクリプト
- 発売日: 2017/10/14
- メディア: 単行本
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主に、「日本文化私観」と「イノチガケ」を引用しながら、安吾のアナクロニズム的な存在を浮上させている。
- 作者: 坂口安吾
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1998/05/01
- メディア: 単行本
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筑摩書房版『坂口安吾全集』は所蔵しているものの、書架にたどり着けない状態であり、青空文庫で読む。皮肉なことだ。かつて冬樹社版の『定本坂口安吾全集』を、その装幀の良さから古書で購入したいと我慢を重ねたあげく、編集者の関口光男が、筑摩書房版では、柄谷行人と組み、執筆の編年順配列にするという画期的な全集になることを知り、購入した。
- 作者: 坂口安吾
- 出版社/メーカー: 冬樹社
- 発売日: 1968
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たしかに、安吾の作品は、ジャンル別に編纂しても、あまり意味がない。なにしろ、文体は小説・エッセイ・伝記等、すべて同じ文体で書かれている。
坂口安吾の作品については、すでに「坂口安吾デジタルミュージアム」がウェブ上に開設されていて、こちらを参照していだだければ、作品論など小生の見解など、書く意義を見いだせない。
ここでは、全集刊行時に「月報」に連載された「坂口安吾論」が一冊の書物になったことを寿ぎたい。それだけである。
太宰よりも安吾、と言うのが私の好みだ。
それより、柄谷行人さえ、「日本文化私観」が戦後に書かれたと思い込んでいたことに、首肯するしかないという感覚。
時代に寄り添うという姿勢が安吾には視えないことが良い。
「イノチガケ」は1940(昭和15)年に発表されている。「日本文化私観」は、1942(昭和17)年発表である。戦後無頼派と称された安吾は、戦前・戦中から作家であった。
安吾には「崇高」(サブライム)傾向があり、美の基準を「崇高」(不快を通して得られる快)に置いていたようだ。そこを柄谷行人は見抜いている。
「坂口安吾デジタルミュージアム」に掲載された「年譜」は、4つに別れ、安吾の祖父母の世代を前史として、文壇で出る前、文壇デビュー後戦前、戦後から没年までと詳細に記録されている。
小生の気にかかる作品を文庫で挙げれば、以下のとおりとなる。
「堕落論」「日本文化私観」「白痴」「桜の森の満開の下」「二十一」以下の自伝的青春作品、「不連続殺人事件」など多数。
- 作者: 坂口安吾
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/09/17
- メディア: 文庫
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- 作者: 坂口安吾
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/10/16
- メディア: 文庫
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- 作者: 坂口安吾,近藤ようこ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2017/10/18
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- 作者: 坂口安吾
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/10/01
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日本文化私観―坂口安吾エッセイ選 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
- 作者: 坂口安吾,川村湊
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/01/10
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- 作者: 坂口安吾
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/11/14
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- 作者: 坂口安吾
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1997/12/01
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- 作者: 坂口安吾,坂口三千代,川村湊
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/10/03
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