映画ベストテン2018
今年、映画館のスクリーンで観た映画は113本。久々の100本超えだった。
例によって『キネマ旬報12月下旬号』に依拠して、外国映画、日本映画それぞれのベストテンを以下に記す。
【外国映画】
1.スリー・ビルボード(マーティン・マクドナー〉
2.ボヘミアン・ラプソディ(ブライアン・シンガー)
3.犬ヶ島(ウェス・アンダーソン)
4.ザ・ビッグハウス(想田和弘)
5.ウィンストン・チャーチル(ジョー・ライト)
6.スターリンの葬送狂騒曲(アーマンド・イアヌッチ)
7.アイ、トーニャ(クレイグ・ギレスピー)
8.女は二度決断する(ファティ・アキン)
9.15時17分、パリ行き(クリント・イーストウッド)
10.フロリダ・プロジェクト(ショーン・ベイカー)
次点
◎シェイプ・オブ・ウォーター(ギレルモ・デル・トロ)
◎判決、ふたつの希望(ジアド・ドゥエイリ)
◎ペンタゴン・ペーパーズ(スティーヴン・スピルバーグ)
◎ルイ14世の死(アルベルト・セラ)
◎ハッピー・エンド(ミヒャエル・ハネケ)
◎ゲティ家の身代金(リドリー・スコット)
◎女と男の観覧車(ウディ・アレン)
◎ウインド・リバー(テイラー・シェリダン)
◎ファントム・スレッド(ポール・トーマス・アンダーソン)
●バッド・ジーニアス 危険な天才たち(ナタウット・プーンピリヤ)
タイ映画としては、ハリウッドスタイルで良く出来ていた。
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『ボヘミアン・ラプソディ』は、クイーンのフレディ・マーキュリーを主人公とするドキュメント風回顧譚であるが、圧巻の歌とパフォーマンスにより、きわめて感動的な作品に仕上がっている。
『スリー・ビルボード』をベストとしたのは、作品内人物が時間とともに大きく変貌する様子が予想を超えるともいえる出来に圧倒されたから。
想田和弘の『ザ・ビッグハウス』は、ミシガン大学のフットボールチームの10万人を収容できるスアジアムを観察するというとてつもない記録映画だ。まさしく、これぞアメリカ!
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アーマンド・イアヌッチ『スターリンの葬送狂騒曲』は、ロシアで上映禁止となった上質のブラックコメディで。独裁者スターリンの突然死の直後から、次期の第一書記を狙う側近たちの駆け引きは、スターリニズムの内実と崩壊をコミカルに描いていて秀逸。
【日本映画】
1.日日是好日(大森立嗣)
2.万引き家族(是枝裕和)
3.寝ても覚めても(濱口竜介)
4.カメラを止めるな(上田慎一郎)
5.孤狼の血(白石一彌)
6.素敵なダイナマイトスキャンダル(冨永昌敬)
7.きみの鳥はうたえる(三宅唱)
8.斬、(塚本晋也)
9.散り椿(木村大作)
10.教誨師(佐向大)
次点
◎食べる女(生野慈朗)
◎銃(武正晴)
◎モリのいる場所(沖田修一)
◎検察側の証人(原田眞人)
◎港町(想田和弘)
◎焼肉ドラゴン(鄭義信)
◎スマホを落としただけなのに(中田秀夫)
◎コーヒーが冷めないうちに(塚原あゆ子)
●生きてるだけで、愛。(関根光才)
主演の趣里が、内面の狂気を表現する如何ともしがたい性格を絶妙に演じていた。
樹木希林という女優の偉大さを改めて知らされた一年だった。通常は『万引き家族』をベストにするであろうが、敢えて大森立嗣の『日日是好日』を持ってきた。すぐに解かることと、時間をかけてわかることの違い。物事には<型>から入ることの大切さを知ることとなった。
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話題は、低予算の『カメラを止めるな』が予想外の大ヒットしたことだろうか。ホラー映画をワン・カットで撮り、その裏側を解説するという発想がいい。後半は爆笑ものだった。アイデアの勝利というところか。
今年、他界した名脇役俳優・大杉漣の初主演映画で遺作となった『教誨師』は、牧師(大杉漣)が六名の死刑囚と延々話を交わすシーンがと続く地味な作品だが、途中の変容が俄然、画面を輝かせる。次点作と置き換え可能だが、大杉漣氏へのオマージュを込めて10位とした。
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白石一彌『孤狼の血』は、女性作家・柚月裕子原作だが、東映『仁義なき戦い』以来の、やくざと警察の抗争に肉薄した凄絶なフィルムとなっている。
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冨永昌敬『素敵なダイナマイトスキャンダル』は、末井昭の自伝を映画化した。母親が愛人とダイナマイトを抱いて自殺するという驚くべき少年期を経て雑誌編集者になり、権力と向き合うアナキーぶりに観る者は、ぶっ飛んでしまう。
想田和弘の観察映画『ザ・ビッグハウス』と『港町』、二作品が外国映画と日本映画の双方でベストテンに関わるという画期的な年でもあった。
なお、瀬々敬久の『菊とギロチン』は、上映時間(189分)の長さ故、敬遠したことを補足しておきたい。また、次点として挙げているリストは、置き換え可能であることを申し添えておきたい。
さてさて、100本以上の映画をスクリーンで観るのは、今年で最後にしたい。とりあえずのベストテンは本年にて終了にしたい。
2004年から本ブログでは、16年にわたり映画ベストテンを選出してきたが、今、振り返るとその年・その時点でのベストテンであった。いずれオールタイム・ベスト50を選出してみたいと思うが、その時は年度別の意味は喪失するということになる。
小津安二郎の作品をじっくり見直してみたい心境である。
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【補足】
ベストテン発表後、数本観た内、●印の二本「バッド・ジーニアス」(タイ映画)と、趣里主演の「生きてるだけで、愛。」(本谷有希子原作)を次点に追加した。
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