2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

表象の芸術工学

書物を通じて著者に出会う。それは数多くの作家や評論家やライターなどの物書きなのだが、ある書物が、決定的な衝撃をもたらし、その著者との遭遇を一種奇蹟のように感じることは、これまでの乏しい経験から言っても、10年に一人だ。そのひとりになるかも知…

近代文化史入門

『超人 高山宏のつくりかた』に続いて、高山宏著『近代文化史入門-超英文学講義』を読む。 近代文化史入門 超英文学講義 (講談社学術文庫)作者: 高山宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/07/11メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 93回この商品を含むブロ…

天然コケッコー

山下敦弘監督『天然コケッコー』(2007)を観る。少年少女の物語でこれほど切なく、心地よい映画は珍しい。ボーイ・ミーツ・ガールものの変種であるが、田舎の小中学校に通う7人の生徒を中心とする原作漫画からのお話。中学生3名、小学生3名の複式学級に、…

超人 高山宏のつくりかた

出るべくして出た高山宏の『超人 高山宏のつくりかた』(NTT出版、2007.8)、14日に読了。マニエリスムを核とする半自叙伝になっている。由良君美との師弟関係でいえば四方田犬彦『先生とわたし』と併読することで、1970年代から90年代の「知の運動」の輪…

夕凪の街 桜の国

こうの史代の漫画を原作とする、佐々部清監督『夕凪の街 桜の国』(2007)を観る。 夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)作者: こうの史代出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2004/10/12メディア: コミック購入: 60人 クリック: 1,350回この商品を含むブログ …

ヒロシマナガサキ

今、広島・長崎に投下された原爆について語ることの意味、戦後は終わっていないこと、戦後体制の終焉などと決して言えないことが、日系三世スティーヴン・オカザキ監督『ヒロシマナガサキ』の証言からはっきりわかる。イデオロギーだの政治性だのを極力排除…

怪談

中田秀夫『怪談』(2007)を観る。本格的なジャパニーズ怪談は実に久しぶり。三遊亭円朝の講談『真景累ヶ淵』を原作として、歌舞伎俳優尾上菊之助を主役の新吉に迎え、豊志賀に黒木瞳。 怪談 (角川ホラー文庫)作者: 行川渉,三遊亭円朝,奥寺佐渡子出版社/メー…

イノセント

ルキーノ・ヴィスコンティ『イノセント』(1976、無修正版)をスクリーンで観る。修正版は観たが、違いはヘアと男性の性器が写されていることであった。日本公開時は「ぼかし」が入っていたので、他のヴィスコンティ映画のように上映時間に変更がはない。19…