2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

エナジー小事典

灰色文献関連で追加。 灰色文献として企業の出版物がある。1980年代の『エナジー小事典』(エッソ石油会社)を、3冊持っている。きっかけは、蓮實重彦・山田宏一・山根貞男『映画小事典』(エッソ石油会社、1985)の寄贈を請求したことによる。のちに蓮實重…

社史の研究

「日本全国書誌」との関係で「灰色文献」に触れたが、私家版や饅頭本は、いわば個人の出版物だが、企業や団体がその歴史を記したものとして「社史」がある。一般的には、読むに値しないのが定説であろう。私も同じように考えていた。しかし、村橋勝子『社史…

図書館はだれのものか

図書館はだれのものか―豊かなアメリカの図書館を訪ねて (中部大学ブックシリーズ)作者: 松林正己出版社/メーカー: 中部大学発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 61回この商品を含むブログ (8件) を見る それにしても、図書館の社会的背景を…

日本全国書誌

国立国会図書館では、昭和23年の『納本週報』から始まった『日本全国書誌』の冊子体の発行を廃止することになった。2007年6月26日刊行の2007年22号をもって刊行を終了するとのことだ。*1 国会図書館とは、周知のとおり納本制度により日本で出版された全ての…

クィーン

エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンが、予想どおりアカデミー賞主演女優賞を受賞した映画、スティーヴン・フリアーズ『クィーン』(2006)を観た。ダイアナ元皇太子妃の死を巡って国民の意識と乖離する女王と、労働党党首となり、選挙で勝ち首相となった…

日本文化における時間と空間

加藤周一『日本文化における時間と空間』(岩波書店、2007)。著者は「この本は日本の思想史について私の考えてきたことの要約である。」と「あとがき」に記している。読まねば。 日本文化における時間と空間作者: 加藤周一出版社/メーカー: 岩波書店発売日:…

君自身に還れ

さきほど他界された池田晶子さんが、浄土真宗の大嶺顯氏と対話した『君自身に還れ』(本願寺出版社、2007)。本書のあとがきは、切ない。 本書の刊行を心待ちにしながら、先般逝去した我が父に、私は本書を贈りたいと思っています。 二〇〇七年三月 池田晶子…

ミクロコスモスⅠ、Ⅱ

中沢新一『ミクロコスモスⅠ』『ミクロコスモスⅡ』(四季社、2007)が同時に発売された。短文を集めたものだが、装丁がいいし、造本としても柔らかい感触が心地よい。「はじまりの音楽とことばの捧げもの/人類学者の、小さな花束」と「夜の知恵と途切れない記…

小林秀雄とウィトゲンシュタイン

中村昇『小林秀雄とウィトゲンシュタイン』(春風社、2007)は、久々に刺激的な書物となりそうだ。 言葉というものは、「贋物」とでもいうべき性質を、その本質としてもつ。たとえば言葉は、ある対象を指示するといわれる。しかし、言葉そのものは、決して対…

東京タワー 

リリー・フランキーの大ベストセラー小説の映画化。監督・松岡錠司『東京タワーオカンとボクと、時々オトン』を観る。故郷を離れ東京(都会)に出た人なら、必ず実感するはずの母への思い。親子の絆が希薄化しているからこそ、この古典的な主題をストレート…

生きさせろ!

ほんの少し前、日本は一億総中流と言われた時代があった。それがいつの間にか、「格差社会」になっている。職場の中にパート職員が一部いた。しかし、派遣職員はいないのが普通であった。正規職員の人員削減に伴い、気がつけば周囲は派遣職員であふれている…

ボヴァリー夫人

ボヴァリー夫人 [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2005/08/27メディア: DVD クリック: 18回この商品を含むブログ (9件) を見る ジャン・ルノワール『ボヴァリー夫人』(1933)をDVDにて観る。ルノワールを『大いなる幻影』(1937)でのみ語られ…

村上春樹を聴く。

村上春樹ほど日本のみならず、広く世界で読まれている作家は、かつての日本にはいなかった。文豪・漱石を凌駕する勢いだ。漱石は同時代に受け入れられ、死後その人気は増幅されている。村上春樹は現代の漱石である、と言っても過言ではあるまい。その村上春…

「赤」の誘惑(読了)

蓮實重彦『「赤」の誘惑』を読了した。 「赤」の誘惑―フィクション論序説作者: 蓮實重彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/03/01メディア: 単行本 クリック: 37回この商品を含むブログ (48件) を見る 本書を、読み進めてみると「フィクション」のなかの「…

スピノザエチカ抄

スピノザ エチカ抄 (大人の本棚)作者: ベネディクトゥス・デスピノザ,Benedictus de Spinoza,佐藤一郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2007/03/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (7件) を見る 佐藤一郎の新訳『スピノザエチカ抄』…

希望の書店論

希望の書店論作者: 福嶋聡出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2007/03/01メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 42回この商品を含むブログ (25件) を見る 書店員で「本」や「読書」について書く人のなかで、おそらくジュンク堂の福島聡が最先端にいる。『希望…

読書の腕前

読書の腕前 (光文社新書)作者: 岡崎武志出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/03メディア: 新書購入: 5人 クリック: 38回この商品を含むブログ (135件) を見る 岡崎武志『読書の腕前』(光文社新書、2007)が良い。いかにも読書好きの著者ならではのもので、…

村上かるた うさぎおいしーフランス人

村上かるた うさぎおいしーフランス人作者: 村上春樹,安西水丸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/03/01メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (75件) を見る 村上春樹・安西水丸・絵『村上かるた うさぎおいしーフランス人』(文藝春秋、…

「赤」の誘惑

「赤」の誘惑―フィクション論序説作者: 蓮實重彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/03/01メディア: 単行本 クリック: 37回この商品を含むブログ (48件) を見る 蓮實重彦『「赤」の誘惑』(新潮社、2007)を入手した。例によって、「赤」と「フィクシン」…