2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

好きだ、

17歳のユウ(宮崎あおい)は、同級生ヨースケ(瑛太)に心がひかれている。学校からの帰途、川辺で二人は会うのだが、ほとんど会話がない。二人を捉えたキャメラは、青空の空ショットと交互にカットバックされる。ユウには姉(小山田サユリ)がいるが、姉は…

立喰師列伝

押井守『立喰師列伝』は、戦後史を民俗学から借用した架空の「立喰い師」の視点から捉えた大傑作になっている。 立喰師列伝 通常版 [DVD]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2006/09/22メディア: DVD購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ …

私家版・ユダヤ文化論

「ユダヤ人問題」とは永遠の謎だ。内田樹『私家版・ユダヤ文化論』を読むとますます「ユダヤ人問題」が、解らなくなる。ともあれ、内田氏の言説に従ってみよう。 私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)作者: 内田樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/07/01メ…

ハチミツとクローバー

人気コミックの映画化で話題を呼んでいる『ハチミツとクローバー』を観る。監督はCMディレクターの高田雅博。原作(羽海野チカ)は読んでいないので、映画のみから判断する。 ハチミツとクローバー ―PHOTO MAKING BOOK出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006…

うつうつひでお日記

吾妻ひでお『うつうつひでお日記』(角川書店)を読む。「事件なし、波乱なし、貧乏、神経症、冷やしラーメン、そば、本屋、図書館」しかでてこない著者の、2004年7月7日から2005年2月16日までの日記、つまりあの大ヒットとなった『失踪日記』発売前の、8ヶ…

小沢昭一的新宿末広亭十夜

小沢昭一が、新宿の末広亭で10日連続高座に出た。そのときの記録が『小沢昭一的新宿末広亭十夜』として発売された。積読から、本日読了した。 小沢昭一的新宿末廣亭十夜作者: 小沢昭一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/06/27メディア: 単行本 クリック: …

インターネットの法と習慣

インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]作者: 白田秀彰出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ発売日: 2006/07/15メディア: 新書購入: 9人 クリック: 223回この商品を含むブログ (151件) を見る 『Hotwired Japan』の連載…

大学生の論文執筆法

石原千秋による『教養としての大学受験国語』、『大学受験のための小説講義』に続く、大学生関連「ちくま新書」三部作のとりは、『大学生の論文執筆法』。これが、一般人にとっても、滅法面白い。 大学生の論文執筆法 (ちくま新書)作者: 石原千秋出版社/メー…

品川猿

共同通信系ブロック紙に、2006年7月13日付けで掲載された加藤典洋「カウンセリングの本質」は、実に刺激的な内容であった。本人が自覚していない心の傷(真実)をいかにつたえるかというカウンセリングの本質的問題について、村上春樹「品川猿」(『東京奇譚…

クラッシュ

クラッシュ [DVD]出版社/メーカー: 東宝発売日: 2006/07/28メディア: DVD購入: 3人 クリック: 96回この商品を含むブログ (314件) を見る ポール・ハギス監督。第一作でアカデミー賞・作品賞受賞という快挙をなしとげた。『クラッシュ』(Crash, 2005)は、アメ…

インサイドマン

最近観た映画で、予想外に面白かったのは、スパイク・リー『インサイドマン』であった。『インサイドマン』は、単なる銀行強盗映画ではない。アメリカ社会が抱える人種問題や格差社会などが、いたるところに仕掛けられている。冒頭、クライヴ・オーウェンが…

M:i:III

『ミッション・インポッシブル』の第三作『M:i:III』は、娯楽映画としても、また、ヒッチコック的ムービーとしても十分に楽しめた。現役を引退し教官として勤務していたイーサン・ハント(トム・クルーズ)のもとに、元訓練生の救出命令がでる。まさに、ハン…

夜の公園

川上弘美『夜の公園』は、ほんわかとした文章は相変わらずだけれど、内容的にはリアルで現実的な要素が入りこんできた。リリと幸夫の夫婦とその危機、悟と暁の兄弟、リリの女友達春名、幸夫の職場の仲間高木憲一郎などの人物を配し、リリの視点、幸夫、春名…

王になろうとした男

気になる映画作家の伝記および自伝が、相次いで出版された。手元に3冊の本がある。いずれも未読了。*1 ①アントワーヌ・ド・ベック、セルジュ・トゥビアナ共著、稲松三千野訳『フランソワ・トリュフォー』(原書房,2006.3)フランソワ・トリュフォー作者: ア…

戦後日本の「考える人」100人100冊

季刊誌『考える人』17号は、『戦後日本の「考える人」100人100冊』特集を組んでいる。この種の企画が好きなので、ついつい購入した。100人は以下のとおり。 芥川比呂志、網野善彦、有元利夫、有吉佐和子、猪谷六合雄、生田耕作、池田三四郎、イサム・ノグチ…

バックラッシュ! なぜジェンダーフリーは叩かれたのか

『バックラッシュ!』がやっと手元に届いたので、とりあえず宮台真司、斎藤環、小谷真理、上野千鶴子の4人の論説と高校教諭・長谷川美子の報告*1を読む。もっとも説得力が高いのは、斎藤環の「バックラッシュの精神分析」だった。 バックラッシュ! なぜジェ…