2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

山田稔 何も起らない小説

セミナーシリーズ*1鶴見俊輔と囲んで・4『山田稔 何も起らない小説』(編集グループ・SURE, 2006.7)を読む。シリーズとしては4だが、鶴見俊輔を囲む会としては、第一回のゲストが、山田稔氏。山田氏の作品は、講談社文芸文庫の『残光のなかで』のなかの二…

バックラッシュ!

双風舎さんが6月26日に発売した『バックラッシュ!』について、一言述べておきたい。この本に関しては、事前のパブリシティ、とりわけネット社会を巧みに利用した一種のキャンペーンを行ってきた。 <『バックラッシュ!』発売記念キャンペーン>なるブログ…

漱石という生き方

漱石という生き方作者: 秋山豊出版社/メーカー: トランスビュー発売日: 2006/05/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (5件) を見る 岩波版『漱石全集』を、二種類持っている。菊判とB6版。漱石の原稿を忠実に編集したのが、B…

ブロークン・フラワーズ

ジム・ジャームッシュの七年ぶりの長編『ブロークン・フラワーズ』は、短編の集積であった前作『コーヒー&シガレッツ』の「幻覚」で出演したビル・マーレイを、老いたドンファン役に配し、自らの過去に遭遇せざるをえない設定にして、20年前に別れた女性四…

嫌われ松子の一生

『下妻物語』に、一種カルチャーショックを受けながらも、深田恭子と土屋アンナの異世界の女性同士が、奇妙な連帯感を持つに至る経緯を、カラフルでパワー溢れる映像で見せていたことに驚いたものだ。さて、監督・中島哲也は、これまでの映画文法を完全に無…

花よりもなほ

是枝裕和による時代劇『花よりもなほ』には、期待がかかる。岡田準一、宮沢りえ主演とくれば、なおさらのこと。時代は元禄、あの赤穂義士の討ち入り前後に設定されている。山本博文『日本史の一級史料』によれば、歴史史料で一級史料が多いのが「忠臣蔵」だ…

文士の生魑魅

文士の生魑魅作者: 車谷長吉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/05/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (15件) を見る 車谷長吉『文士の生魑魅』読了。内容としては、『文士の魂』の続編の趣だが、読書遍歴としては、同工異曲のもので、「うち嫁はん…

同時代も歴史である

坪内祐三『同時代も歴史である 一九七九年問題』(文春新書)は、坪内氏の政治的論考と形容していいだろう。坪内氏の書物について語る姿勢や、本へのこだわりに寄り添ってきた者にとって、ついに来るべき時がきたという印象が強い。福田恆存の「アンティゴネ…

今村昌平・黒木和雄

遅ればせながら、今村昌平(1926.9.15. - 2006.5.30)と黒木和雄(1930.11.10 - 2006.4.12 )両氏に哀悼の意を捧げたい。きわめて個性の強い優れた監督の不在が、日本映画界の大きな空白にならないことを祈りたい。今村昌平監督、黒木和雄監督には、個人的に…

かもめ食堂

かもめ食堂作者: 群ようこ出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2006/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 30回この商品を含むブログ (240件) を見る 『バーバー吉野』と『恋は五七五!』の荻上直子が、群ようこに原作を依頼した『カモメ食堂』は、アキ・カウ…

間宮兄弟

江國香織原作の『間宮兄弟』は気になっていたが未読。それが森田芳光によって映画化された。映画のみで語るとすれば、まぎれもなく森田ワールド満開の世界になっている。 間宮兄弟作者: 江國香織出版社/メーカー: 小学館発売日: 2004/09/29メディア: 単行本 …

VOL

思想誌の創刊が相次いでいる。これまでのところ、老舗の『現代思想』と『大航海』(いずれも三浦雅士の創刊編集)くらいしかなかったのが、ここにきて、創刊ラッシュともいえる現象が見られる。もちろん、新しい世代による思想誌の創刊は歓迎されていいだだ…