2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

勤労感謝の日

絲山秋子『沖で待つ』(文藝春秋,2006)に収められたもう一編の小説「勤労感謝の日」が、読み応えあった。最初の女子総合職としての経験がやっと作品に生かされてきた。芥川賞受賞作である「沖で待つ」が、同期の男性との一種友情に近い関係を描いた作品だ…

戦後思想の名著50

戦後思想の名著50作者: 岩崎稔,成田龍一,上野千鶴子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2006/02/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (17件) を見る 岩崎稔・上野千鶴子・成田龍一編『戦後思想の名著50』(平凡社,2006)は、戦後6…

対談・文学と人生

対談・文学と人生 (講談社文芸文庫)作者: 小島信夫,森敦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/02/11メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 6回この商品を含むブログ (13件) を見る 小島信夫・森敦の『対談・文学と人生』読了。奇妙な対談というべきか、名状しが…

世界漫遊随筆抄

小林秀雄の遺作『正宗白鳥の作について』(『小林秀雄全集』別巻1)で、『本居宣長』を完成させたあと、なぜ正宗白鳥について言及したのか、その点について大いに気になっていた。正宗白鳥は、各種文学全集にもほとんど登場しない。いってみれば過去の人。…

対談・文学と人生

対談・文学と人生 (講談社文芸文庫)作者: 小島信夫,森敦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/02/11メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 6回この商品を含むブログ (13件) を見る 講談社文芸文庫から、小島信夫・森敦『対談・文学と人生』が刊行された。解説は…

ウェブ進化論

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)作者: 梅田望夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/02/07メディア: 新書購入: 61人 クリック: 996回この商品を含むブログ (2363件) を見る 梅田望夫『ウェブ進化論』を読む。「インターネット」…

地図のない道

ヴェネツィアのゲットについて、須賀敦子が『地図のない道』の「ゲットの広場」で、旅先でヴェネツィアのゲットを訪れたときの印象を記している。地図のない道 (新潮文庫)作者: 須賀敦子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/07/30メディア: 文庫購入: 9人 …

ヴェニスの商人

ヴェニスの商人 [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2006/04/05メディア: DVD クリック: 32回この商品を含むブログ (64件) を見る アル・パチーノがシャイロックを演じた『ヴェニスの商人』は、監督が名作『イル・ポスティーノ』のマイケル・ラ…

みすず2005年読書アンケート

『みすず』2006年1/2月号は、例年どおり「読書アンケート特集」を組んでいる。昨年も『みすず』の「読書アンケート特集」を取り上げた(2005年2月22日)が、今年もぱらぱらと眺めているうちに、ついつい何人がこの本をという関心が抑えきれず集計してみた。…

田畑修一郎全集

荒川洋治の「道」の文章から田畑修一郎が気になった。日本ペンクラブ・電子文藝館 で『鳥羽家の子供』を読み、この作家がますます気になった。地方の旧家の子供であった軍治(田畑)は、実母の死後、父の愛人である幾が後妻となり家庭の体面は保たれるが、や…

奈良登大路町 妙高の秋

奈良登大路町・妙高の秋 (講談社文芸文庫)作者: 島村利正,勝又浩出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/01/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (12件) を見る 講談社文芸文庫には、時々、嬉しい出会いがある。結城信一、小山清や…

加能作次郎 三篇

加能作次郎(1885 〜1941)も、今日では忘れられた作家である。例えば、著名な作品一篇でも後世に記憶として残っておれば、忘れられることはないだろう。また、文学全集につねに名前を連ねていたなら、文学史の中の作家として記憶されるだろう。 2000年にEDI…

谷間の女たち

鈴木地蔵『市井作家列伝』で紹介されていた、森山啓『谷間の女たち』(新潮社,1989)*1を読む。人に勧められて読んだのだが、かつてプロレタリア作家であった森山啓が、幼年時代から20代で結婚するまでの一種の自伝であるとともに、優れた私小説であり、…