2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

チャーリーとチョコレート工場

ティム・バートンの完璧映画だ。ロアルド・ダールの原作をこれほど巧みに、映画化できるのは、ブラックユーモアが身上のティム・バートンだけだろう。今年一番の収穫だった。 タイトルバックが、チョコレート工場で自動的にチョコレートが生産される工程を示…

シンデレラマン

ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ、レネー・ゼルウィガー主演『シンデレラマン』は、単なるボクシング映画ではなかった。ハングリー・スポーツとしてのボクシングは、よく映画化される。『チャンプ』『ロッキー』など、数えあげればきりがない。サクセ…

世に出ないことば

世に出ないことば作者: 荒川洋治出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2005/09/21メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (31件) を見る 荒川洋治『世に出ないことば』(みすず書房)は、読書エッセイ・シリーズの最新刊。荒川氏の書物に対する…

電子ジャーナル

誰もが経験することであろうが、雑誌論文や記事検索をして、さていざそのオリジナル論文・記事を入手する時に、困ったことがあると思う。商業系雑誌は、比較的入手しやすい。しかし、問題は大学や研究機関が発行しているいわゆる「紀要類」の入手である。大…

ヒトラー 最後の12日間

ドイツ映画が、日本で上映される機会は多くない。一時期、ニュー・ジャーマン・シネマの時代があり、ファスビンダー、ヘルツォーク、ペーターゼン、ヴェンダースなどのフィルムが、競って公開されていた。日本で最も早く注目された『マリア・ブラウンの結婚…

インファナル・アフェア三部作

『インファナル・アフェア』三部作をまとめて観る機会があった。かつてはアジア映画の本流を占めていた香港映画は、1997年の中国への返還以後、映画界のエネルギーは、下降気味であり、このところ、韓国映画に圧倒されていた。この傾向に、「香港映画ここに…

東京奇譚集

村上春樹の最新作『東京奇譚集』を読了。雑誌『新潮』に短期連載の四編に書き下ろし『品川猿』を加えて、五編を収録している。冒頭に置かれた『偶然の旅人』は、「僕=村上春樹はこの文章の筆者である。」と始まる。ん、まさか、村上春樹が私小説を書くわけ…

やさしくキスをして

ケン・ローチは、イギリスのワーキング・クラスの人達の日常生活や恋愛などを描いて、常に感銘を誘う優れた監督であり、いま一人のマイク・リー*1とともに、イギリスの良心を代表する作家だ。 秘密と嘘 [DVD]出版社/メーカー: JVCエンタテインメント発売日: …

脳と仮想

このところ、読書が進まない。理由は単に仕事が忙しいだけなのだが、その割には「映画」はコンスタントに観ている。第4回小林秀雄賞・受賞の茂木健一郎『脳と仮想』が気になっていた。とりあえず読みはじめたら、止められない。読了感として、名状しがたい衝…

新・平家物語

溝口健二の遺作から二番目の作品『新・平家物語』(1955)は、若き市川雷蔵の出世作となった。このたび、デジタルリマスター版の『新・平家物語』をスクリーンで観て、女性映画の名匠が、貴族社会から一段下に見られていた武家の棟梁として、公家や比叡山の…

東洋文庫のWEB版

WebサービスのJapankowledgeを眺めていて、平凡社の『東洋文庫』700巻のほとんどが電子化されていてることに気がついた。書物をWeb上で読むことは、膨大な収蔵スペースが不要であるし、また、絶版の心配もなく、契約さえしておけば、いつでも、どこでも、読…

フレンチなしあわせのみつけ方

シャルロット・ゲンズブールといえば、セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンを両親に持つサラブレット女優。パートナーであるイヴァン・アタルは、監督と映画のなかでも夫役を演じている。『フレンチなしあわせのみつけ方』(2004、仏)は、中年男性3…

サマータイムマシン・ブルース

映画には、「タイムマシン」ものは数多くある。しかし、『サマータイムマシン・ブルース』の面白さは、遠い過去だの、未来へタイムッスリップするのではなく、昨日・今日の間を往復するだけで、これほど、刺激的でスリリングなフィルムを撮ってしまう本広克…

奥さまは魔女

アカデミー賞女優ニコール・キッドマンが「魔女」を演じるという話題性。なにより、ニコール・キッドマンがコメディに出演しているだけで、嬉しくなってしまう。60年代のアメリカンドラマ『奥さまは魔女』の映画リメイク版。監督は、女流のノーラ・エフロン…

ラブレーの子供たち

ラブレーの子供たち作者: 四方田犬彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/08/24メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (53件) を見る かつては月刊四方田と呼ばれたほど、新刊書の刊行頻度が多かったが、現在では落ち着いてきている四方田犬…