2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ミリオンダラー・ベイビー

30歳を過ぎたヒラリー・スワンクには、生き抜くためには「ボクシング」をすること以外の道はない。クリント・イーストウッドが経営するジムで住み込みの雑用係りのモーガン・フリーマンは、そんな彼女に同情し、アドヴァイスをする。「女の指導をしない」…

オペレッタ狸御殿

鈴木清順が映画を撮る、それが映画的事件となる。しかも、ミュージカル版「狸御殿」となれば、期待度は高まる。出演がチャン・ツィイーとオダギリジョー。チャン・ツィイーの「ことば」はどうするのだろうか。まさか、全編、日本語というわけにはいかないだ…

タイガー&ドラゴン『猫の皿』

荷風が落語家として、人生をスタートさせたことは上述した。落語は単なる江戸趣味ではない。その語り口のなかに、庶民の哀歓が内包されている豊潤な古典文芸だと思う。第7回の『猫の皿』は、短い話ではあるけれど、話のネタとしてクドカンは、いつも以上に…

図説 永井荷風

図説 永井荷風 (ふくろうの本/日本の文化)作者: 川本三郎,湯川説子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/05/20メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (10件) を見る 「ふくろうの本」シリーズで、川本三郎・湯川説子『図説 永井荷風』が…

蕨野行

雪が降るわらび野で、食べ物が尽きようとするとき、馬吉(石橋蓮司)はウサギ捕りに行こうとする。レン(市原悦子)は、「呆けたか、馬吉」と後を追い、彼の前で立ちはだかる。すると、馬吉が「レンよ、おめも食いたし」、レン「狂うたか」、馬「食うておれ…

著作権とは何か

『著作権』関係本が多いなか、福井健策『著作権とは何か』(集英社新書)は、盗作やパロディとなった様々な作品の裁判例をあげながら解説しているので大変分かりやすく、面白く読むことができた。出色の入門書である。 著作権とは何か―文化と創造のゆくえ (…

タイガー&ドラゴン『明烏』

第6回は、おなじみの古典落語『明烏』をもとに、クドカン流に「換骨奪胎」している。林屋亭の師匠・西田敏行 の一番弟子・春風亭昇太がまじめすぎていまだに独身。舞台では、まず薬師丸ひろ子が、「負け犬」に関する口上を述べ、堅物の若旦那を不良の連中に…

未来

未来社のPR誌『未来』5月号の冒頭は、高橋哲哉の『いま、<精神的自由>の危機を考える』と題して、4月9日・東京堂書店での講演を採録したものである。戦後60年。憲法の改正、それに連携する教育基本法の改正が、なされようとしている。 この問題の出…

靖国問題

靖国問題 (ちくま新書)作者: 高橋哲哉出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/04/01メディア: 新書 クリック: 75回この商品を含むブログ (246件) を見る 気鋭のデリダ哲学者・高橋哲哉『靖国問題』が、朝日新聞のベストセラー快読に取り上げられた。おそらく…

理由

ドキュメンタリー手法、それも登場人物にインタビューしてゆき、時々、マイクが映ったりもするが、それは意図的に見せているわけで、107人の人物を描き分けるには、最適の方法だった。原作を読んでいないので、まったくの先入観なく観ることができた。 こ…

タイガー&ドラゴン

宮藤官九郎脚本のTVドラマ『タイガー&ドラゴン』第5話「厩火事」を観る。通常はTVドラマなど観ないのだが、『真夜中の弥次さん喜多さん』を観て、そのハイテンポでシュールな面白さが、テレビではどうなのだろうか確認してみたくなった。 漫才コンビの…

フロイト=ラカン 

知の教科書 フロイト=ラカン (講談社選書メチエ)作者: 新宮一成出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/05/11メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 52回この商品を含むブログ (31件) を見る 待望のというべきか、やっとフロイト=ラカンに関する入門書として、…

スピノザの世界

スピノザの世界―神あるいは自然 (講談社現代新書)作者: 上野修出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/04/19メディア: 新書購入: 16人 クリック: 117回この商品を含むブログ (132件) を見る 上野修『スピノザの世界 神あるいは自然』(講談社現代新書)が出版…

ジョットとスクロヴェーニ礼拝堂

スクロヴェーニ礼拝堂の壁面全体に描かれたジョットの絵画は、一度は見たい。 が、実際パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の中で、数多い壁画を15分間で見ることなど不可能に近い。一週間滞在しても、見たいという余裕のある人は別だ。 ジョットとスクロヴェ…

失踪日記

失踪日記作者: 吾妻ひでお出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2005/03/01メディア: コミック購入: 28人 クリック: 293回この商品を含むブログ (1146件) を見る 吾妻ひでお『失踪日記』には、ぶっとんだ。人気漫画家の失踪、ホームレス、肉体労働の日…

真夜中の弥次さん喜多さん

「てやんでぃ!」 お馴染み弥次喜多道中記を、現代の視点から「自分探し」と「リアル」を求めて、江戸からお伊勢参りを目指す。時代劇であって時代劇ではない。原作まんが(しりあがり寿)の翻案ものであって、そうでもない。喜劇であるが、悲劇でもある。過…

阿修羅城の瞳

はっきり言って、この種の映画としてはあまり期待していなかった。ところが、映画が始まるや否や、ぐいぐいこのケレン味たっぷりの虚構にのめり込んでいた。市川染五郎の軽みを帯びながらも歌舞伎の演技を堂々と見せてくれる楽しみ。華奢な宮沢りえが、恋す…

ニワトリはハダシだ

森崎東監督『ニワトリはハダシだ』、映画の舞台は舞鶴。舞鶴とは、敗戦後大陸からの引き揚げ者を迎える港。あの「岸壁の母」の場所。また、原因不明で爆破沈没した浮島丸事件*1の港でもある。 別居中の夫婦、海に突き落とされた原田芳雄と倍賞美津子が並んで…

はてなダイアリー150日

本日で、「はてなダイアリー」の覚書が、150日になりました。私のことを「構造主義者」だと勘違いしている人がいるようですので、そのことに触れておきます。私は、哲学や思想の流行については、基本的に丸山眞男の「古層論」に賛同する立場をとります。…

澁澤龍彦との日々

澁澤龍彦との日々作者: 澁澤龍子出版社/メーカー: 白水社発売日: 2005/04メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (39件) を見る 他界後18年がすぎた澁澤龍彦。その二度目の奥さんである龍子さんによる『澁澤龍彦との日々』(白水社)を購入…

Shall we Dance ?

街角のTV画面に映し出されたフレッド・アステアとシド・チャリシの踊るシーン(『バンド・ワゴン』)を見つめるダンス教室の人たち。そう、アメリカ映画は、伝統的にミュージカルを楽しんで来た国だった。RKO時代のアステア&ロジャースものや、MGM…