2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

五線譜のラブレター

アーウイン・ウィンクラーの『五線譜のラブレター』(De-Lovely,2004)は、コール・ポーターなる実在人物の伝記映画であり、コールを演じるケヴィン・クラインとその妻となるアシュレイ・ジャッドが、これもなりきり演技で再現している。懐かしいスタンダード…

Ray「レイ」

このところハリウッド映画は、伝記ブームのようだ。 そのうち音楽家の伝記映画2本を観た。まずは、レイ・チャールズの伝記映画『Ray』(The Extraordinary life story of Ray Charles,2004)は、レイを演じているジェイミー・フォックスのなりきり演技で…

ポオとヒッチコック

著名なポオの小説『盗まれた手紙』について、ラカンの「《盗まれた手紙》についてのセミネール」(『エクリ1』)*1を読み、いささかきつねにつままれた思いを抱きながらも、内田樹の『現代思想のパフォーマンス』「Ⅴ ジャック・ラカン」の解説から、その解…

パッチギ!

井筒和幸監督の『パッチギ!』を観た。1968年という限定された時代を対象としながらも、青春映画としての普遍性を獲得している傑作になっている。 1968年の京都、府立高校生、朝鮮高校生、大阪ホープの会など少年から青年期へ育ちつつある若者たちの群像劇。…

詩人と女たち

チャールズ・ブコウスキーの『くそったれ!少年時代』『ポスト・オフィス 』『詩人と女たち』は、日本文学風にいえば「私小説」ということになるだろう。ブコウスキーの少年時代、青年時代、壮年時代のそれぞれ自伝になっている。これに『勝手に生きろ! 』と…

ネバーランド

マーク・フォスター監督作品『ネバーランド』は、劇作家としてのジェームズ・バリが、不朽の名作『ピーター・パン』を舞台で公開するまでの背後のエピソードを、「死と喪失」のテーマのもと、きわめてオーソドックスに描いた作品になっている。 ジェームズ・…

父、帰る

ロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督第一作『父、帰る』(2003)を、遅ればせながら観る。2003年度ヴェネティア映画祭グランプリ・金獅子賞受賞作。 父、帰る [DVD]出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/04/08メディア: DVD購入: 2人 クリック: 30回…

他者の苦痛へのまなざし

2004年12月28日、スーザン・ソンタグの死去が報じられた。朝日コムから引用すると、 米作家で批評家のスーザン・ソンタグが死去 [ニューヨーク 28日 ロイター] 米作家で批評家のスーザン・ソンタグが28日、ニューヨーク市内のがん専門病院で死去した。…

はてなダイアリー100日

日記を書き終えて気づいたのだが、本日が「はてなダイアリー」を記録しはじめて100日目にあたる。100日も書くとは、自分でも予想しなかった。いささかの感慨あり。しかも100日目が、古書ミステリーとは、意外な展開であった。

失われし書庫

ジョン・ダニング著、『死の蔵書』(原書:Booked to Die,1992、翻訳:1996)*1『幻の特装本』(原書:The Bookman's Wake,1995、翻訳:1997)*2に続く元刑事で古本屋のクリフォード・ジェーンウェイの第3弾『失われし書庫』(原書:The Bookman's Promise, 20…

イッツ・オンリー・トーク

イッツ・オンリー・トーク作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/02/10メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (143件) を見る 絲山秋子の第一作にして、文學界新人賞受賞作・第129回芥川賞候補作。 『イッツ・オンリー・トーク…

海の仙人

海の仙人作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/08/28メディア: 単行本 クリック: 29回この商品を含むブログ (135件) を見る 絲山秋子さんを気になる作家として、昨年『袋小路の男』に触れ、そこで絲山さんは「孤独感の捉え方が秀逸」と評価し…